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日本知財学会講演
NEXT STAGEへ 深化(進化)する『地域ブランディング』

日本知財学会 ブランド経営分科会にて「地域ブランディング」をテーマに講演

CLIENT:
企業・自治体・支援機関

一般社団法人日本知財学会のブランド経営分科会は、ブランド・ブランディングに関する研究を行うことを目的として、2019年6月に発足しています。この分科会の第7回目の研究会に、VALUE LABO Founder・草野が講師として参加しました。

「2020年、2021年と世界中で猛威をふるっている『新型コロナウィルス』。この影響は計り知れず、特に、感染拡大を目的とした、数々の行動制限は、地域経済に深刻なダメージを与えたといえます。今回は、まさに、多くの人がいち当事者として立ち向かっているこの問題に真正面から取り組み、ブランディング・知財にできることはないのか、議論を深めたいと考えています。」というテーマ設定を受け、「地域ブランディング✕デザインマネジメント」の視点から講演を行いました。

1.地域ブランディングとは

「地域ブランディング」という言葉を調べると、様々な定義・解釈を見つけることができます。これは、地域ブランディングには様々なステイクホルダーが関わっていることによります。地域ブランディングには、地方自治体などの行政、ものづくりやサービスを提供する民間事業者、生活者であり消費者である地域住民、地域で働く人々や地域を訪れる観光客など、様々なステイクホルダーが異なる目的、視点で参画しています。したがって、様々な定義・解釈があるのは当然で、またそのすべてが正しいのです。

したがって、地域ブランディングにおいて重要なことは、様々な意味に拡散する地域ブランドの価値を、情緒的価値と機能的価値、2つの価値で統合することが必要となります。情緒的価値とは、ステイクホルダーに対して憧れ、ワクワク、誇りなどの感情を引き起こすような価値のことであり、機能的価値とは、機能面や品質面で評価される価値のことですが、ブランディングという視点で見ると、CI(コーポレートアイデンティティ)、VI(ビジュアルアイデンティティ)、知財戦略などの「技術・応用科学(戦略)」で括ることができるもの、とも言えます。

また、地域ブランディングを難しくしている要因として、今と10年前ではブランディングの意味や手法がまったく異なってしまった、ということが挙げられます。かつて、ブランディングという言葉は、マスメディアに広告を投下してブランドを形成する手法に対して用いられており、「CMの30秒枠で何を伝えるか」「どれくらい広告を投下するか」「効果的なコピーをどのように生み出すか」など、限られた媒体スペースや時間枠での「狭義のデザイン」が重要視されていました。しかし、今は一個人であってもSNS等でメディアを持てるようになったことから、広告投下型のブランディングが通用しにくくなっているのです。

2.地域ブランドづくりで大切なこと

多くのステイクホルダーが一緒に地域ブランドづくりを行うためには、まず「ブランドづくりの目的」を設定することが必要であり、「ビジョン」「行動指針」を策定するためのコミュニケーションを取ることから始めることが必要です。この事前準備を行うかどうかが、地域ブランドづくりを成功させるために必要なプロセスとなります。地域ブランディングも当然ながら社会的環境(課題)の影響を受けるため、社会的環境に適応するビジョンを立てる必要があります。

ブランドづくり推進の体制として、多様なメンバーの方が、イノベーションに必要なブレイクスルーが起こりやすくなります。ただし、失敗も多いので、コラボレーションは色々な相手とやりながら(相手を変えながら)、「継続」していくことが大切です。いつも同じメンバーでいつものやり方でやっていては、過去の失敗を引きずってしまうことにもつながります。

ブランドづくりを推進するうえで、ステイクホルダーによって、視点の長さが異なるという問題点があります(短期的な成果を求めるか、長期的な視点に立てるか)。したがって、推進のステップをどのように設定して検討するか、「進め方」に関する合意が必要となります。

ブランドについて議論するとき、何について議論しているのかを参加者で意識合わせすることが大切です。例えば、「ブランド・アイデンティティ」にも色々な定義(構造)があります。どの定義について議論しているのかを何を作ろうとしているのか決めて、議論しなくてはなりません。ブランド価値は、目に見えるものと見えないもので出来ています。目に見えるものだけだと、機能的価値に偏ってしまいがちです。様々な定義・解釈ができるブランドの設計は、いくらでも緻密にできるし、色々なトライアルができる取り組みです。

ブランドコンセプトの構築において重要なことは「予測ができないところに感動がある」ということです。したがって、「なぜ」を繰り返し、潜在的なニーズまで掘り下げることが大切です。そして、そうした反復活動をささえる「情熱」「熱量」が、ブランドづくりには重要となります。

3.アフターコロナに向けて、「今」できること

講演後には、「経済産業省 知的財産を活用した地域ブランド創生事業」で講師をされている特許業務法人iRify国際特許事務所 代表パートナー弁理士の永沼よう子様、分科会代表幹事の小川徹様とのトークセッションがあり、テーマについてさらに議論を深めました。また、質疑応答の時間には、参加者からの質問が寄せられました。その中で、

・ 地域ブランディングにおいても社会を見ること、そのための広い視点が必要である。法律を見る目も必要である。

・ したがって、ブランディングを進めていくうえで、法律家に関わってもらい、一緒に新しい価値を創りたいと期待している

・ コロナ禍の今だから(時間があるから)できることがある。例えば、時間が掛かる「ビジョン作り」

などの意見、考察がなされました。

また、最後に、デザインマネジメントの活用でブランディングに深くかかわっている草野から参加者の皆様へ、「想いのないところにデザインはない」というメッセージをお伝えしました。講演内で「コミュニケーション≒デザイン」という考えもお伝えしましたが、ステイクホルダー同士の想いを介したコミュニケーション、そうしたコミュニケーションに基づくデザインなくして、ブランドづくりはなし得ないということを、ブランドづくりに関わる法律家の皆様にも知って頂ければと思います。

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