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投資育成セミナー
「中小ものづくり企業のための自社製品開発の進め方」

中小企業・中堅企業対象、ものづくり企業対象セミナー

CLIENT:
企業・自治体・支援機関

2021年11月30日、東京・渋谷の投資育成ビルにて開催された投資育成セミナー「中小ものづくり企業のための自社製品開発の進め方」に、VALUE LABO・ビジネスデザイナーの辰野が登壇しました。

辰野は、2013年から2015年に早稲田大学大学院商学研究科に在学して中小製造業(従業員数名から数十名規模)の自社製品開発に関する研究を行い、修士論文を作成しました。こちらの内容と、その後の現場での支援に基づき、中小製造業向けの自社製品開発に関するセミナーを実施してきましたが、今回は、もう少し規模の大きい中堅企業も対象に含め、お話しました。自社製品開発を実施していない中小企業・中堅企業の方をターゲットに想定していましたが、当日はすでに自社製品開発を行っている企業の方、上場している企業の方など、幅広く関心を持ってお集まりいただきました。

1. 中小企業・中堅企業が自社製品開発を行う意義

まず前段として、中小企業・中堅企業が自社製品開発を行う意義についてご紹介しました。日本の製造業の名目国内総生産のピークは1997年であり、その後は停滞が続いています。経済産業省による「2019年ものづくり白書」では、「スマイルカーブ理論」を引き合いに出しながら、
・これまでの日本企業は高い技術力を背景に中間工程に注力していた
・IT・ハイテク企業を中心としたプラットフォーマー企業が台頭し、生産工程のみでの展開付加価値が出しにくくなっている
・したがって、今後は上流工程(企画・設計)と下流工程(サービス)に注力すべきである
と説明しています。自社製品開発への取り組みは、こうした上流・下流工程への進出に当たるものと言えます。

そして、これまでの私の研究や支援の中で感じてきた自社製品開発の意義としては、
①新たな収益源を獲得できる
②新たな強みを獲得し、企業としての競争力が強化される
③下請業務への好影響
といったことが主に挙げられます。

2. 自社製品開発を進めるステップ

自社製品を開発したものの思うような成果を得られていない企業の方から一番よく聞くのが、「いいものを作ったのに売れない」という言葉です。ここで考えて頂きたいのは、その製品が「使う人にとって」いいものになっているか、ということです。高度な技術が使われている、複雑な設計をしている、カタログ値(スペック)が高い、他にはない機能が搭載されている、といった特徴は、使う人にとって必ずしも「いい」とは限らないのです。

自社製品開発は①開発テーマの探索②製品コンセプトの決定③仕様の具体化/生産準備④営業・マーケティング のプロセスで考え、推進することをおすすめしています。そして、使う人にとっていいものを生み出すためには、①開発テーマの探索(ニーズのあるテーマを探索、設定する)②製品コンセプトの決定(誰にどんな価値を届けるか)が特に重要です。

中小製造業の自社製品開発で一定の成果を上げるための開発テーマの探索、設定の手法として、
・経営者(自分)や家族のニーズに徹底的に応える
・専門家に密着して高い要求を満たす
・取引先や流通のニーズ・要望に応える
といった手法が挙げられます。

特に「経営者(自分)や家族のニーズに徹底的に応える」「専門家に密着して高い要求を満たす」ではターゲットと直接対峙でき、より強いニーズを把握できる可能性があり、中小製造業での開発テーマの探索では特におすすめをしています。

一方、規模の大きい中堅企業では小規模な企業に比べて目標とする事業規模(売上、利益)が大きくなるため、「経営者(自分)や家族のニーズに徹底的に応える」「専門家に密着して高い要求を満たす」といったパターンではニーズがニッチ過ぎてその目標を満たせないことも想定されます。一方、「取引先や流通のニーズ・要望に応える」に関しては、取引先/流通の販売力や取引先/流通の属する業界規模によって事業規模の予測がしやすい、製品化した場合に取引先/流通から販売に関する協力を得られる、といったメリットがありますが、こうしたメリットを生かすと、より事業規模の大きい(企業規模に見合う)テーマを発見できる可能性があります。

また、中堅企業では、その事業規模に対応して、これまで多くの技術開発や設備導入などを行っており、それによってできるようになったこと(=要素技術)が沢山あるはずです。そうした要素技術をあらためて抽出することで、自社の保有する技術シーズをきちんと見える化し、そのシーズが解決できる市場ニーズを探索することも有効です。

3. 自社製品開発を行うための組織づくり

経営者を中心として、経営幹部、外部専門家等を加えたチームで実施するパターンと、各部署から選抜のメンバーによるプロジェクトチームを作って実施するパターンがあります。どちらがよいということではなく、例えば経営者に製品のイメージが多少なりともある場合や専門家等外部の協力が得られそうな場合には経営者を中心としたチーム、テーマ検討からスタートする場合や組織の活性化やメンバーの育成などを目的とする場合にはプロジェクトチームでの実施が進めやすいといえます。

協力を求める専門家として、「デザイナー」も有効です。近年、「製品のかたち」以外にも経営にデザイナーが関わることが注目されています。製品開発においては、コンセプト開発の段階からデザイナーの力を活用することも有効といえます。

製品のテーマを考えるきっかけは色々ありますが、そんな簡単に良いアイデアは浮かぶわけではありません。外に出て足を使って情報を集めたり、仕事と関係のない人と会って話をしてみたり、いつもと違うトライアルをしてみてはいかがでしょうか。

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