ACTIVITIES活動実績
VALUE LABOでは、ハンズオン支援を経て事業者が「自立」する、すなわち、支援終了後に事業者のメンバーが自ら創意工夫しながら施策を打てるようになることを目指した支援も行っています。ここでは、クラフトビールを製造販売する事業者の支援事例について紹介します。販促企画を担当する若手メンバー2名に、販促企画のノウハウを伝え、実践を行ってもらいました。
そして、支援を通して一貫してお伝えしたキーワードは「占有率を上げる」でした。
①買いたくなる売り場をデザインする
この事業者では、自社ホームページでの販売に加えて、地元の小売店への導入実績もありました。ただし、普通の缶ビール等と比べて単価が高いため、「価格」で比較するしかない売り場で、クラフトビールを購入してもらうことは容易ではありません。
すでに商品が導入されている販売店では、いかに商品への興味を喚起して「買いたくなる」売り場をデザインできるかが重要です。POP や店頭什器、店舗のショーケース、イベントブースなどを適切に制作、活用する必要があります。
まず、売り場のデザインをするうえでの基本的な考え方についてレクチャーしました。同じ売り場面積(列数)であっても、「占有率を上げる」方法・テクニックがあります。そのうえで、買いたくなる売り場づくりに向けて、実際の店頭の現状を観察したうえで、どのように改善の策が取れるかを、売り場の責任者、担当者とコミュニケーションを取りながら検討します。店舗における制約条件を把握し、その範囲内の提案であれば、メーカーや卸売業者からの提案に耳を貸してくれる小売業者(店舗)は、意外と多いのです。そして、1つの店舗で成功事例ができれば、小売業者の他店舗で同様の施策を取ってもらうことや、他の小売業者の店舗に提案することもできます。
売り場を改善した店舗では、商品の回転率が上がったことをすぐに確認できました。さらにその後、売り場におけるクラフトビール(高価格商品)の取扱数自体も増えており、小売店側に「価格が高くても工夫次第で売れる」という認識が生まれたことが確認できました。
②リピーターを育てる
長く繁盛しているお店や商品サービスは「リピーター」が支えています。中長期に売上の安定・拡大やコストの低減を考えるなら、リピーター育成が有効な手段です。リピーターの育成が有効な理由は「新規顧客は獲得コストが高いから」であり、「リピート購入は、顧客満足の証だから」です。
そして、リピーターづくりにおいて意識すべき「占有率」は、顧客の「マインドシェア」であり、顧客が興味を持つ(深い)情報を定期的・継続的に届けることで、繋がりを保ち続けることが大切です。
リピーターを育成するポイントになる「1. 自社のこだわりや価値観を伝える」「2. 気持ちが通じ合う関係を目指す」「3. 顧客を「囲い込む」仕組みを持つ」「4. 顧客に合わせたメッセージを届ける」を実践する方法をレクチャーしました。限られた人員でできることを選択して、少しずつ実践しています。
③小売店と共創する
小売店の中で、自社の商品コンセプトに共感し、商品を愛してくれる店舗があれば、積極的に「共創」に取り組むことが有効です。ある小売店から、店内イベントにおける新しい売り場づくりの依頼がありました。そこで、どのように推進するのが望ましいのか、プロセスを示しました。大切なことは、「自社の目的」「小売店の(イベントの)目的」をしっかり設定、把握し、双方にとって望ましい売り場をデザインすることが重要になります。
この小売店では、事業者のクラフトビールを定番として扱っており、すでにリピーターもいるようだ、との声を店員さんからもらっていました。そこで、リピーターの育成および維持のため、商品やブランドに関するより深い情報を載せたPOPの作成や、店員さんが説明に使用できるシートなどを作成することを提案、了承をもらったうえで提供しました。